ズキズキと片側が痛む

片頭痛は、通常頭が脈打つようにズキンズキンとする痛みです。 頭の片側が痛むことが多いのですが、両側が痛むこともあります。 「片頭痛」という字を見ると頭の片側だけ痛む病気と思われがちですが、そうではありません。
頭痛によって仕事や家事、勉強などの日常生活に支障を生じる人の割合が多いのが特徴です。
痛みはつらいので、病院を受診する人が多く、当院の統計では、頭痛で来院する人の70%は片頭痛となっています。しかし頭痛が治ると普通の生活ができることが多く、病院には行かずに、市販薬で頭痛をやり過ごしている人も多いのです、
症状
吐き気や嘔吐を伴うことも多く、頭痛は数時間続くことが多く、数日続くこともあります。 頭痛の前兆として目の前にギザギザが見えたりすることがあります。 こめかみや目の奥が痛いと訴える方も多くあります。 頭痛が生じているときに、頭を振ったり、片足でケンケンをすると痛みが悪化するなどは片頭痛の特徴です。
女性(特に20~40歳代)に多く、 女性ホルモンの変動と関係しており月経周期によって頭痛が変動する方も多くあります。
原因
片頭痛の原因はまだ確定したものはありません。現在もっとも有力な説は、何らかの原因で、三叉神経からCGRPという神経伝達物質が放出され、神経炎症を引き起こすことによって片頭痛を生じるというものです。
治療
今生じている片頭痛を治す薬として、2001年にトリプタンというお薬が発売されて、 特効薬といってよいほどの恩恵を患者さんは得ることになりました。

片頭痛の治療は、発作時にはまずこのトリプタンを使うことが第一となります。 トリプタンは薬の成分の総称で、具体的な商品名としては、 イミグラン、ゾーミッグ、レルパックス、マクサルト、アマージがあります。さらにジタン系と称される薬として、レイボーがあります。これらは病院で処方され、市販されていません。また頭痛発作が強くて病院に来院できない人のために、2008年にイミグランの自己注射が発売されました。 自分で注射をして今生じている片頭痛を治そうというものです。 片頭痛、群発頭痛の方に適応がありますので、これらの頭痛に困っておられる方はご相談ください。
また片頭痛がよく起こって困っている方は、頭痛発作を予防するためにお薬を飲むようにします。 予防薬は片頭痛の発作の頻度がかなり多くて、日常大きな障害となっている場合に用いられます。予防薬の服用によって、楽になる方も多くあります。また、2021年に、片頭痛の予防注射薬として、抗CGRP抗体薬、抗CGRP受容体抗体薬が発売されました。このお薬は片頭痛治療に革命をもたらしたと、現在非常に高く評価され、実際にこの薬によって頭痛に悩まされていた方が、人生が変わったと言われることもあるほどです。頭痛に悩まれる方はぜひご相談ください。さらに抗CGRP拮抗薬という飲み薬が、2025年末、2026年初頭に発売されました。このように片頭痛治療の選択肢がさらに多くなっていますので、ご相談いただければと思います。
お薬を使わない治療は、人によって様々ですが、 頭痛発作時には横になって静かに休むことがまず第一にあげられます。 そして頭痛が起きているところを指で押す、頭を冷やす、などの方法がありますが、 人によって異なりますので、自分にあった方法を見つけてください。 基本的に運動は痛みを強くするので、入浴も通常避けたほうがよいのです。
日常生活での注意
片頭痛に悩まれる方は、まず何よりも自分の日常生活を振り返り、 規則正しい生活をすることが大切です。 そして頭痛を起こすような原因を遠ざけてゆくことが求められます。
まず第一は、ストレスです。 頭痛に限らず、一般に痛みは心理的影響が大きいのです。 痛みを軽くするのは、リラックス、安心、喜びなど。痛みを強くするのは、緊張、不安、悲しみなど。
食事では以前からチョコレートやチーズが片頭痛を誘発するとされてきましたが、それほど神経質になることはありません。 あるものを食べるとてきめん頭痛がくるという、その人だけにダメなものもあり、個人差がありますので、 自分なりの予防法を考えることが大切です。 積極的にとることが薦められているのは、マグネシウム、ビタミンB2です。 マグネシウムは大豆やひじきなどの海藻類、ほうれん草、ココアなどに、 またビタミンB2はレバー、納豆、卵黄などに多く含まれます。