片頭痛
片頭痛は、頭が脈打つようにズキンズキンとする痛みです。
頭の片側が痛むことが多いのですが、両側が痛むことも多いことに注意します。
「片頭痛」という字を見ると頭の片側だけ痛む病気と思われがちですが、そうではありません。
頭痛によって仕事や家事、勉強などの日常生活に支障を生じる人の割合が多いのが特徴です。
痛みはつらいのですが、痛みが治まると元の生活に戻れることが多いので、病院を受診する人の割合が非常に低いといわれています。
頭痛発作に対して市販の薬を飲んで我慢している、というのが片頭痛に悩む多くの方の現状なのです。
症状
吐き気や嘔吐を伴うことも多く、頭痛は数時間続くことが多く、数日続くこともあります。 頭痛の前兆として目の前にギザギザが見えたりすることがあります。 目の奥が痛いと訴える方も多くあります。 頭痛が生じているときに片足でケンケンをすると痛みが悪化するなどは片頭痛の特徴です。
女性(特に20~40歳代)に多く、 女性ホルモンの変動と関係しており月経周期によって頭痛が変動する方も多くあります。
原因
片頭痛の原因はまだ確定したものはありませんが、セロトニンという神経伝達物質の放出による血管の収縮とその後の拡張、 そして三叉神経が痛みに関わっているといわれています。
治療
ここ数年で、片頭痛の治療は大きく変わりました。
これまで片頭痛は通常の鎮痛剤ではなかなか効きにくかったのですが、
2001年にトリプタンというお薬が発売されて、
特効薬といってよいほどの恩恵を患者さんは得ることになりました。
これまでひたすら我慢するしかなかったのが、片頭痛の痛みから解放され、
喜ばれている患者さんの顔を見るのは非常にうれしいものです。
このように片頭痛の治療は、発作時にはまずこのトリプタンを使うことが第一となります。 トリプタンは薬の成分の総称で、具体的な商品名としては、 イミグラン、ゾーミッグ、レルパックス、マクサルト、アマージがあります。これらは病院で処方され、市販されていません。このほかにもお薬はいろいろな種類があります。 また頭痛発作が強くて病院に来院できない人のために、2008年にイミグランの自己注射が発売されました。 自分で注射をして片頭痛を治そうというものです。 片頭痛、群発頭痛の方に適応がありますので、これらの頭痛に困っておられる方はご相談ください。
また片頭痛がよく起こって困っている方は、発作を予防するためにお薬を飲むようにします。 予防薬は片頭痛の発作の頻度がかなり多くて、日常大きな障害となっている場合に用いられます。
お薬を使わない治療は、人によって様々ですが、 頭痛発作時には横になって静かに休むことがまず第一にあげられます。 そして頭痛が起きているところを指で押す、頭を冷やす、などの方法がありますが、 人によって異なりますので、自分にあった方法を見つけてください。 基本的に運動は痛みを強くするので、入浴も通常避けたほうがよいのです。
日常生活での注意
片頭痛に悩まれる方は、まず何よりも自分の日常生活を振り返り、 規則正しい生活をすることが大切です。 そして頭痛を起こすような原因を遠ざけてゆくことが求められます。
まず第一は、ストレスです。 頭痛に限らず、一般に痛みは心理的影響が大きいのです。 痛みを軽くするのは、リラックス、安心、喜びなど。痛みを強くするのは、緊張、不安、悲しみなど。
お酒が片頭痛の誘因になることがあります。 ワインでは「赤」が頭痛を起こしやすいといわれます。 しかし、お酒が絶対にダメというわけではありませんので、量などを調整しましょう。
食事では以前からチョコレートやチーズが片頭痛を誘発するとされてきましたが、それほど神経質になることはありません。 あるものを食べるとてきめん頭痛がくるという、その人だけにダメなものもあり、個人差がありますので、 自分なりの予防法を考えることが大切です。 積極的にとることが薦められているのは、マグネシウム、ビタミンB2です。 マグネシウムは大豆やひじきなどの海藻類、ほうれん草、ココアなどに、 またビタミンB2はレバー、納豆、卵黄などに多く含まれます。
片頭痛が起こりそうな時期が予測できる方は、その時期に激しいスポーツやアルコールを避け、 お風呂も軽くすませ、休日もリズムを狂わせないような生活を心がけてください。